2020.8.30.21:26
【第12フェーズ】関係 お洒落 争い 兆し
〈1日目〉6月20日
1、
そういえば、向かいの花屋でバイトをはじめたの、とヨーコは小さなあの甘ったるい声で言った。
それは仲間たちが寝ているベッドの縁に腰掛けて、カーテンから漏れる朝日を頼りに本を読んでいたときで、それまでずっと無言でいたわけだから、あまりに唐突だった。
コンゴピンクのカーテンを通った淡い光がリリー・スフィンクスのポスターに差し込んでいる。
僕は本を閉じてベッドの端に置き、時給は?と聞く。彼女は本を放ってシーツのシワを弄りながら、700円と呟いた。
安いでしょ。彼女は足を組み直す。でも、前までのところより居心地がいいの。前は本当やな奴ばっかだった。店長すら、よ。
しかも、ほら、そこの花屋、おばあちゃん一人でやってるじゃない。彼女、腰を悪くしちゃったみたいでね、丁度良かったの。それから数秒黙る。
「ヒデ、ねぇ、別にいいよね?」
→ヒデが最終決定
彼女がこっちに体重をかけた拍子に本が落ちる。
彼は腕を伸ばして植物棚の時計を掴む。まだ朝早いことがわかると、タオルケットを頭からかぶった。まだ6時前だった。
皆起きちゃうから、外で話そうか。そう提案すると、彼女はこくりと頷いた。
「ヒデ、医者になりたかったんでしょ?」「子供んときだよ」
本を本棚から取る 埃
トシキがまだ寝ていて、電気は消したまま
にしている リョウが窓を少し開ける
ヨーコがグラスをこぼす 寝ぼけ眼
僕がキッチンの蛇口まで行くと
アンがキッチンでトーストを焼いている。
→彼中心に仲間がいる。眠気と水気
2、仲間が集まってバンド練習 雨が降って
いた 梅雨入り 絨毯貼りの床
「あと2ヶ月しかないんだよ」
「言い争いは飽きたんだ」枯れた花束
〈2日目〉
3、花屋 坂の途中 冷たい 古着屋で買っ
た安いジャケット アンとヨーコを待つ
「ヒデは、そうやってポッケに手を突っ込
んで、壁にもたれかかって待つのが好き
なのね。いつもそう。」
4、ライブ前 慣れ 汚い 甘い ステッカ
ーが大量に貼ってある重い防音扉
5、ライブ中 平凡 汗 彼らはステージ上
観客は沸かない。今に見てろよと言うよ
うな、真剣な眼差しだった(伏線)
6、仕送り 姉さんは風呂 明日から試験
〈3日目〉
7、プロデューサーを見つけたことを聞く
近所の服のある雑貨店 ギター「俺にとっ
ちゃ、これが全てなんだよ。」
8、久しぶりの酒屋 指のけが 共同体語る
「理想を全員で叶えるためには、利潤を求
めちゃいけないんだ」
9、夜道 楽器が防具 明日の予定
〈4日目〉
10、トシキの部屋 トシキのワックス トシ
キはいつもアロハシャツを着ている 芸
術的嗜好 汚れ リョウとヨーコとトラ
ンプをしていた。コピーバンド 言い争
い 彼らの不満が彼に向く なだめる
11、姉さんはもう寝ているようだった
〈5日目〉
12、朝 化粧をする姉と話す
13、トシキの部屋(あの文章)雨 共産主義
14、良い歌を思いつく 今までのを合わせる
「ヒデが外出るってよ。ヨーコ、ついて
いってやんなよ」
「わかったわ」
「わざわざついてこなくていいのに。」
「あなたのおかげで成り立ってるんだか
ら、荷物持ちくらいさせてよ。」
涼しい廊下 飛び出た葉 日陰 クリー
ム色のざらついた壁 体を傾かせながら
歩く
15、花屋 ヨーコの笑顔 透けるように薄い
シャツ something summer と訳のわか
らないことが書いてある
16、ライブ前 途中で帰る 姉のいないアパ
ート ハワイで買った10ドルのウクレレ
に触れる
〈3日間〉
17、二人のアパート 家族 一人で考える
参考にするのは洋楽 シューゲイザー 父
が聴いていたもの
キーボード うざったい仲間からのメール
リョウのおどけたセリフ 他人行儀
18、姉が帰ってきてご飯「じきにわかるわ。
やっぱり医師になっておけばよかったっ
て。ヒトラーだって画家を目指してたの
よ。彼も大人しく画家になってればよか
ったのよ。」
19、こんな感じで3日間過ごす 途中でメー
ルがある 彼女は*を付けがち 服のあ
る雑貨店にも行く あの甘ったるい声で
1990年代のモラトリアム少年さながらの
立ち姿だとヨーコに言われそうだと思っ
た(ヨーコのことが好きであることを暗
に示す描写。)
*
19.5 ヨーコの視点 メールを送った ステー
ジの回想 酸欠で視界がぼやけてくる
脚伝いに伝わるシーケンサーの不規則な
振動だけが私を支えている 浮遊感
*
〈9日目〉
20、朝に行く トシキだけ。アンが別のバイ
トを始めたからお金の勘定をする。まめ
な様子。みんなお金を使わない様子。ユ
ートピア。仕送りを机にばら撒く 配る
「スマホの使用料金高すぎるな。来月追加
料金掛かったらプラン変えような。」
「いや。YouTube見れなくなるじゃない」
「金は何かを成し遂げるための手段だよ」
21、昼 仲間が増えていく、花瓶を見つける
ギクシャクしている 造花の話
22、夜 料理を囲みながら、お金を渡す
パソコンから音楽が流れている 今時の
歌詞に中身のない歌を仲間たちは褒めち
ぎっている
「私たちは造花になっちゃいけないよね。
本物にならなきゃ。」
〈10日目〉
23、ヨーコとトシキの身内の話を聞く。これ
が歌詞につながる。過去にアンに自分の
過去を言ったことを思い出す。
24、帰り側に入れ替わったアンの様子 ヒー
ルをひっかけていた
〈11日目〉
25、久しぶりの平穏「この生活も慣れてきた
な、そうだろ?」リョウの造花「なんで
医者を目指してたんだ?」「やめろよ、
あんまり解釈を聞くもんじゃないぜ。」
〈12日目〉
26、みんな楽器のチューニングに行く。彼は
リョウと一緒に花屋に行き、花を買う。
話す「よく考えるんだよ。人に摘まれ
て枯れるのと、踏まれて枯れるのと、
どっちがいいか」
27、帰り道 リョウの歯切れの悪さ どこか
に行くよう
〈2日間〉
28、トシキの部屋 月曜 リョウがお金を使
ったことがばれる 彼は珍しく本を読む
共同体の綻び 言い争い アンがリョウ
の胸ぐらを掴みソファに押し倒す 彼は
力なく倒れる ふてくされたリョウが物
に当たる
彼は花は貰ったと言う
仲間と話してる間も膨れる 蚊帳の外の
ような気分
29、リョウの顔を見る 共犯者のような笑み
脇汗 嘘をついたのは初めてだった 居
づらくなって先に帰る 仲間たちの言い
争う声が網戸を通して聴こえる
30、新曲 新譜完成 姉が帰ってくる 姉の
夕飯をつまむ 彼女はいつも通りテレビ
から目を離さない 共産主義の話をする
「本気なんだ、姉さんにはわからないだろ
うけど」
〈15日目〉
31、練習、時間がなくアンが向こう2日バイ
トを休むことを伝えにいく 外にドライ
フラワー
彼が3日前に買ったものと同じ
32、ライブ前 調整 楽器 貼る場所がない
からとヨーコとリョウが爪で大きいステ
ッカーを剥がしてしまう
33、ライブ反応違う
『そう ほら、造花に触れれば、また
ふら、ふら、生き返る気がするよ』
いつもの彼の様子 こうやって次はマイ
ブラのオマージュをやろうだとか、シン
セザイザーをもう少し厚めにしようかと
か一人、ライムのジム・ビームを飲みな
がら考える生活も終わりが来る気がして
いた。
34、トシキの部屋
サーモンとクリームチーズとフランスパ
ンのサンドウィッチ。トシキがタマネギ
をスライスしている。
高揚 体の触れ合い 人懐っこさ 彼ら
は楽しそう パソコンの音が大きすぎて
機体が熱くなっている。この夏デビュー
出来なかったら解散
「見たか、奴らの目の変わる様が。これだ
よ、これが好きなんだよな」
ワックス 革靴
*
35、このまま頑張ってもデビューは無理そう
ということを書く
*
36、酩酊 リョウが共同体を辞めないかと言
う 彼はきつい口調になる ポケットに
5千円をねじ込む
37、去年に誘われたエピソード→後半への伏
線 冷蔵庫に貼ってある3次オーディシ
ョン通過の通知書
38、あの日の夜は仲間たちと朝まで話してい
た。みんな上機嫌で、アンはトランプタ
ワーを作るのに必死になっていた 医師
を目指していたこと 自堕落「自分を救
えない奴に、他人を救えるわけがないよ
な」アンは完全に酔いが回っていて「そ
んなわけないじゃない」を上の空で繰り
返している
【第3フェーズ】デモ 海 理想
〈16日目〉
〈4日間〉
39、他の曲も仕上げる 10曲になる
曲名『シューゲイザーと花』『バビロン
の空中庭園』『アデン』
『ガーベラー!』『ギャツビー』
パソコンが熱くなっている 汗でマウス
がベタついている 仲間のエピソードを
丁寧に入れる
40、姉が帰ってくる
「いいね、あんたは。毎日遊んでも誰にも
咎められはしないもんね」
「姉さんは、持たざる者の気持ちは理解で
きないさ」
「何が”持たざる”よ。進学校でついていけ
なくなったからってドロップアウトする
奴なんて”甘え”よ」
「それくらい、わかってるよ」
「パパとママはあんたがそう思ってるのを
知ってて、あんたを上京させたんだよ」
「わかってる」
〈20日目〉
*
41、ヨーコ視点
アンのパンツがソファに挟まっている。
それはまだ値札の着いた最近買ったもの
らしく、私は値札を剥がしてソファの下
に、隠す。オーバドゥの4000円のもの
で、彼女がヒデの財布からくすねたのは
明らかだった。
ヒデが裏返したであろう円盤を静かに裏
返す。彼は共産主義とか難しいことを言
うけれど、リョウはもう彼のやり方につ
いていけない気がする。私は、どうでも
いいの。ステージで弾けさえすれば…
→ヨーコは思ったよりふわふわしている
*
42、部屋 オーディションの決意をする
→静かな焦りを書く(暑くなってきて)
午前中トシキに聞く よれよれの雑誌
夜外に出るふりをして呼び出してアンに
聞く
「ねぇ、ヨーコには聞かないの?」「ヨー
コは、別に良いんだ」
43、パソコンで調べる 締め切りは明後日
44、姉 悩みは聞いてほしくない 再試の勉
強
〈21日目〉
45、花屋に行く ヨーコの溌剌とした笑顔が
階段横のガラスを通して見える
酔ったヨーコ「早くママを安心させなき
ゃ。私、プロになったのよって」
言おうとして、緊張する
リョウ「俺たちの指導者なんだから決め
てもらっていいぜ。夢に連れてってくれ
るんだろ。」
46、言う 仲間が団結する 帰ってきたトシ
キが黒い革靴を履いたまま驚いてリビン
グに来る 手にはトーマス・モアのユー
トピア
ーーデモに向けて仲間が真剣になる様子ーー
〈5日間〉
18、練習 汗 曇り
18、一回部屋でセッションする
19、デモを取る 真剣
部屋のモラトリアムな様子
そのままでやろうという
浮遊感
→ここを増やす
「祭壇があればいいよな。皆歌を書いてそこ
に楽譜を順番に置いていくんだ。そこに相
対評価は存在しない。『神にとって』いい
ものか、悪いものかの二択なんだ。全ては
彼が決めるんだよ」
20、再試が終わって受かっていて安心してい
る姉と話す
「私は、たくさんの人を救うんだから」
「それは音楽でって意味で僕も変わらない
さ。そうだ、言ってなかったけど、先日デ
モをとったんだ」
「私は、あんたの音楽で全然救われなかった
けど?」
「そういう特殊な人種も世の中にはいるもん
だよ、姉さん。僕らは、間違ってなかった
んだよ」
彼女はつまらなそうにパソコンの画面を見つめたまま何も言わなかった。彼女はミイラの成り立ちについての動画を見ている。
〈27日目〉
19、メジャーデビューか 仕送り「もっと高
いギター買いたいよな」
早朝にトシキの中古のアルファードで海
に行く 車内にはビールと本と楽器を入
れていく リョウが運転する
20、ヨーコは灰色のパンプスに黒の厚底のサ
ンダル(シューゲイザーらしく下半身
や、手の描写が多い)楽器を担いでいる
「こんな綺麗だったら、取る前にこればよ
かったね」はしゃいで仲間たちは彼の言
うことを聞いてくれない
*
シューゲイザーの定義
ヒデとヨーコの会話(初期の方)
「ヒデ、そのよく言ってるシューゲイザーっ
てなんなの?」
彼女はまだこの時、ネイル店に勤めていた。
アンが持ってきた香水のボトルをリョウがこぼしてしまって、それをどっちが吹くかの口論が長引いたものだから完全に絨毯に染み込んでしまった。部屋中ラベンダーのきつい匂いがしていた。
「こんな感じかな」
彼女は未だよくわかってなさそうな表情のままうなずいた。
「とにかく、新しかったってことね」
「そう。僕はこれと今のポップ・ミュージッ
クを融合させようとしてるんだ。僕らは、
新しい人にならなきゃいけないんだよ」
*
【第4フェーズ】姉 軋轢 契約
〈28日目〉
ーー仲間たちの再びの軋轢と彼との差異ーー
〈6日間〉
濡れて潮の匂いのするジーンズ
・仲間の辛そうな様子
・二回目の喧嘩を彼がなだめる
服も雑貨も置いてある店
・彼らは無理をして演奏をする。
・二つの気持ちは離れていくが、そのことに彼は気づかない
→双方の綻びと理想との本格的な乖離
・過去のシーン。仲間たちは音楽についてと
ても詳しくなって、彼に意見を言うことが
増えてきていた
・理想について彼はソファに座って一生懸命
話す
「日本人のくせに、英語の歌詞を書いてるよ
うな奴は"甘え"てるよ。本物は、そんなん
じゃないんだ」
・医学部のきつさ
・本当は医者になりたかったの暗示
「父さんの時代に生まれれば、簡単に医学部
に入れたのにな」
「なら、もう一回勉強し直せばいいのかよ」
「すればいいじゃない。私の同級生の中にも
29歳がいるわ、遅いなんてことはないの
よ」
焦点が合わなくなってくる。喉が渇いてくる
「俺は、違う」
「”俺”なんてカッコつけちゃって。馬鹿のく
せに。中学の勉強まではできた奴は馬鹿っ
て言うのよ」
〈35日目〉
20、本格的に契約 資金もごっそり減る
雑貨屋で買い物をする
酔って姉に上機嫌に話す
「2000年代には、シューゲイザーもオルタ
ナティブ・ロックもアマチュアからは淘汰
されたんだ」
「姉さん、間違ってなかったんだよ」
今度のこのセリフは、酔って出たうわ言 彼女の悲しそうな表情で黙ってしまう
【第5フェーズ】解体 甘さ 悪あがき 医学書
〈36〜46日目〉8月4日
10日間
21、連絡ない
22、姉 話す
「現実を見なきゃ。バンドマンが全員デビ
ュー出来てたら、そもそもアマチュアが
歌うようなちっさいライヴハウスなんて
無いんだよ。」 やられたかも
、一人は嫌で花屋 店主から来てないと聞く
23、ライブハウスに聞きにいく
24、けんか「もう8月だぜ。なんてことをし
てくれてたんだ!」
【仲間たちが怒る理由が不可解→実は彼らの
策略】
→前半を多少繰り返す
*
・再びヨーコの視点
密会→詐欺に遭った後
どうしたら、自然にやめれるか
最後、ヨーコが堪えきれなくなって
言ってしまう
*
25、止めようと思ったが止めれなかった
次のライブは参加しないと言われる
トシキ
「僕が小さい頃に仲良くしてくれた近所の
大学生がいたんだ。彼は、もちろんいい
人だったんだけど、今考えると僕以上に
物覚えも悪くて勉強も出来なかった。
そのくせに遊びにいくと、彼の机の上に
は必ず何かの学術書だとか難しそうな小
説が置いてあってね、『人は文字を読み
続けないと腐るよ』が彼の口癖だった」
そこまで話すと、彼は弦を弄る手を止め
た。
「だから、僕も気が向いたらそういう本を
借りて読むんだ。馬鹿でもね、腐ったら
負けなんだよ」
「何が言いたいかってね、」
「人は流れていくものさ。その流れは止め
ることができないんだよ。皆、辿る道筋
なんて、決まってんのさ。大丈夫。僕は
陰ながらサポートするさ」
(それでも共同体への憧れ、リーダー、ほかのバンドがパクっていたと聞く)
26、ヨーコと二人で練習
27、花屋 誰もいない
28、トシキの部屋(誰もいない)
弦の切れたウクレレがドアに立てかけて
ある
29、本番前 寝不足でふわふわしている
「トシキも、よく手伝ってくれたよ」
30、本番後、途中で抜ける、パクったバンド
が盛り上がっている
31、ヨーコと別れる
「ねえ、ヒデ。」
「話したいことが、あるの。実はね、」
「私たち、あなた無しで、もう一回やり直
すことに決めたの。もちろん、あなたの
テイストは守るわ。」
→ゲイザーであったことの証拠が前に欲しい
ただの技術盗みじゃないか
32、一人でアパート、朝日
33、デモテープを流す『東京に来てから全て
違ってたって思えたんだ。それでは、聴
いてくれ。これが、僕らの答えだよ。』
倒れ込む
アンとリョウの造花が散らばる
小花瓶の水が溢れる
医学書の背表紙に触れる
もう怖くなかった、みたいに
→浮遊感
*
『花束』の歌詞(エンドロール)
彼を主人公にサビで『きっと大丈夫』を入れる→現在とのギャップ
〈夢をもう一度掴むことを決める〉
(まとわりつくのはこの街)
*